日本で生まれ育った人ならば、誰しもが着るであろう体操服。
でも普段から何気なく言われるがままに着ていただけで、なぜ体操服というものが存在し使われているのかはあまり知られていない存在ではないか、と思います。
今日は、体操服がなぜ世の中に存在するのかを解説していきたいと思います。
男女で違った!?「体操服」誕生のルーツ
「体操服」の発祥については、岡山大学の研究者による論文で詳しく述べられていましたので、詳しくはこの論文をお読みいただくことにして、ここでは簡潔に述べていきます。この研究論文は岡山に本拠を置く尾崎商事(現・菅公学生服)へも取材が行われており、体操服にまつわる資料の中で、もっとも信憑性の高い学術資料といえます。
学校管理下における傷病の発生と子どもの環境としての被服に関する一考察 岡山大学大学院教育学研究科研究集録 第152号(2013)※PDFファイル
この研究によれば、体操服の起源が男女で大きく隔たりがあることがわかります。
男子用は戦前の軍国主義の流れで軍服をベースに作られていたようです。その一方で女子はもともと和服で体育の授業を受けていたのを、和服では動きにくく身体の発達を妨げるとの観点から洋服化が進んだ、という流れです。
今に続く学校指定体操服の原型は1964年東京オリンピックを契機に、各校・各地域で整備が進められていき定着していった、とされています。しかしまだこの頃は女子はブルマーを着用することが当たり前の世界です。
その後の社会情勢の変化で、ブルマーの存在が性差別だと批判の的になり、女子も男子もショートパンツを経てハーフパンツに切り替わっていき、その過程の中で男女共用デザインの体操服が主流になっていき、現在に至るのです。
高まる体操服の重要性と存在需要
もともと体育衣料として誕生し採用し続けられている学校体操服ですが、動きやすさや機能性から活躍の場は体育の授業にとどまらず、部活動や各種学校行事の際にも必須のアイテムになっています。最近ではコロナ禍やLGBTQの流れを受け、制服のかわりに普段の場でも体操服を着用することが認められる学校も増えてきていて、以前よりも体操服の存在需要は増えています。
伝統を重んじる傾向の強い学校制服(学生服)とは違い、時代の変化にも追従することが多いのも体操服ならでは。
だからこそ、体操服の変化や移り変わりを常に見守っていく必要があるのです。
「体操服イラスト全国図鑑」プロジェクトは、未だに解明しきれていない部分の多い「学校体操服」を多方面から研究していくことを目的として創り出したプロジェクトです。
もちろん、各校の体操服をイラスト資料にしていくにあたり、広汎的な体操服の基礎知識やトレンドなども追っていかなければならないと考えています。
ちょっと今日は硬い話で終わってしまいましたが、この「体操服通信」では、体操服にまつわるさまざまな話をこれからも展開していきますので、ぜひチェックしてほしいです。<M>
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