オーディオ全盛期、東芝もオーレックスのブランドを掲げオーディオ戦争に参戦していました。序盤が定評だったオーレックスの地位を逆転すべく東芝が腰を上げたのが、プリアンプ「SY-88」でした。黒いカッコイイ筐体。今でも人気のあるSY-88を見ていきます!
フラッグシップ・プリアンプ SY-88
オーディオが全盛期だった1970年代後半、トリオやラックスマンなどのオーディオ専業メーカーはもとより、家電メーカーもオーディオ事業へ参入し、各社競っていました。松下テクニクス、日立ローディー、三洋オットー、三菱ダイヤトーン、シャープ・オプトニカなど。ピュアオーディオ事業へはメインブランドとは別のブランドが付けられるのが慣習となっていました。
その中で、東芝もオーディオ事業へ参入していました。ブランド名は「オーレックス(Aurex)」で、「Audio」と「Lex(王)」をかけ合わせた造語です。
70年代半ばまでは他社と同じように銀色のフロントのモデルが多く評価もさほど高くなかったのですが、70年代後半よりブラックの筐体を採用し、音色もぐっと良くなっていき評論家の高い評価を得たことで、オーディオファイルからの評判が上がっていくのでした。
その東芝オーレックスの評判を上げるきっかけとなったのが、プリアンプ「SY-88」でした。当時のフラッグシップで定価は18万円。オーレックスで初めて前面ブラックの落ち着いた筐体となり、今でもヤフオクでは3万円は下回らないであろう高い相場で取引されているようです。
このSY-88シリーズは、このあとΛコンデンサーを採用した「SY-Λ88」、改良型の「SY-Λ88II」と続きます。対となるパワーアンプは「SC-88」1本で終わってしまったようです[1]その代わり、SC-Λ99など上位機が存在する。
一時的に借りました
以前の記事でも紹介したように、アンプのセパレート化を目的として、ラックスマンの5L15をパワーアンプとして購入しました。ヤマハのAVアンプをプリ代わりにしていてもトロ臭い音なので、ここで、プリアンプを導入する必要が出てきました。
そこで我が家にやってきたのが、Aurex SY-88でした。イトケン邸では予備機という扱いで使われていなかったそうです。
というのもなぜかというと、オリジナルの状態ではないのです。この個体にバーコードが貼り付けられていたので、調べてみると某オーディオショップが電解コンデンサ等の主要パーツを交換しているものと判明したのです↓
まぁ、とりあえずマトモな2chプリが必要で音質はとりあえず二の次だったので、このSY-88を借りることにしました。
黒一色の筐体は、ラックスマンのような古典的なデザインとは一線を画す存在で、全くもって古臭さを感じません。めっちゃカッコよさすぎて草。
SY-88はフォノ入力がMC/MM1系統ずつで計2系統、プリアウトが2系統と入出力が豊富です。その一方で裏面のコンセントは1口しか無いのが特徴です。
音はプリアンプが決める、プリアンプ選びは大事
5L15と繋ぎテシマルで聴いてみたところ、うーん、良くも悪くも普通の音だな、という感じでした。
全域を通してフラットで、サラッとした出方なのですが、平坦でつまらない。イトケン邸で聴くようなキレもなければ余裕もなく、ただただホンホン鳴ってるだけのような。
というのも、この個体は某オーディオショップで電解コンデンサ等を交換されていてオリジナルの状態ではないのです。
こういう業者たちは、”音が良くなる”などと謳ってオリジナル用でないオーディオ用のパーツなどを投入し、オリジナルありきのアンプの音を殺してしまっているのです。見てるだけだったら、たしかに新品の高級パーツなので一見良くなってる用に見える人もいるかと思いますが、オーレックスを始め、各社のアンプはあくまでオリジナルの状態で最大限の性能を発揮するもの。オリジナル用でないパーツなんて邪道です。
後日、オリジナルのSY-Λ90を買って聴きましたが、やはりΛ90のほうが良い音でした。いかにアンプはオリジナルかが大事か、感じさせられました。
プリアンプ選びはオーディオシステムの音を決める上で最も大事な領域だと思います。もちろんパワーアンプも出力の面で大事ではありますが、プリアンプほどではないようです。
音色の良いプリアンプはかなり数が限られています。その中で、オーレックスは貴重な選択肢の一つになります。その貴重なオーレックスアンプのオリジナル状態をかなぐり捨てるなんて、正直許せたものじゃありませんね。
ということで、SY-Λ90が入ったあとSY-88はイトケンさんへ返却することとなり、いずれオリジナル状態へ戻す”手術”が施されるということです。イトケン様、今回もありがとうございました。
最後まで読んでいただき、
ありがとうございました!
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脚注
↑1 | その代わり、SC-Λ99など上位機が存在する |
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