日本初のハンバーガーチェーン店、ドムドムハンバーガー。徐々に数を減らしつつあり、東海3県では桑名のみに縮小していました。6月末で、オーナーの高齢化と桑栄メイトの解体によりついに東海地区最後の生き残りが閉店してしまったので、惜別企画をお送りします。
北勢の玄関口 桑名駅が生まれ変わる
三重県北勢にある三重県の玄関口、桑名市。交通機関が発達し、名古屋や四日市のベッドタウンとして栄え、ナガシマリゾートなど県外からも多くの人が訪れる三重県の代表都市のひとつです。
その桑名市の玄関口である桑名駅が、近く生まれ変わります。これまで線路の東西を行き来にするには、入場料を払って駅を横切るか、踏切まで遠回りしなければならず、安全面やバリアフリーの面で問題がありました。
今回の駅改修で橋上駅舎が新築され、自由連絡通路が開通します。現在は共用となっているJRと近鉄の改札が分離されます。
それと同時に駅前の整備も行われていることになり、駅前ビルの「桑栄メイト」が秋には解体に入ることになっています。
昭和にタイムスリップできる駅前ビル 桑栄メイト
1970年代初頭、桑名駅前の再開発事業が行われ、「パル」[1]1997年閉業。現在は解体され「サンファーレ」が建つと「桑栄メイト」の2つのビルが建設されました。
1973年に開業した「桑栄メイト」は、飲食店、オフィス、住宅からなる複合ビルとして誕生。2000年代以降、”まるで昭和で時間が止まっているようだ”と言われるほどレトロな内外装なのも手伝って、ディープなスポットとしても人気ある建物でした。
この桑栄メイトは老朽化が進んできたことを理由に、桑名駅の改修に合わせて7月末に全館閉館し、秋より解体されます。跡地にはナガシマリゾート運営会社により11階建てのホテルが建設予定です。
この桑栄メイトの中に、東海地方では非常に珍しいハンバーガー店「ドムドムハンバーガー」があったことはご存知でしょうか?
日本初のハンバーガーチェーン ドムドム
「ドムドムハンバーガー」はダイエーの主導で展開されたハンバーガーチェーン。1970年に1号店を開業した、日本初のハンバーガーチェーンとして知られています(マクドの日本1号店[2]銀座三越は翌1971年)
ダイエーのフードコートを中心に展開し、最盛期には300店舗台まで増えたようです。しかしながら、グループ内での「ウェンディーズ」への転換や、ダイエー本体の不振により大幅に店舗を減らしていき、現在は50店舗を切るまでに縮小してしまいました。
2017年、ダイエーグループから独立し、ロゴを一新したり、新規店舗を出店するなど、細々とではありますが、続いています。
東海3県唯一の生き残り 桑名FC店
名古屋エリアはダイエーのイオンへの転換が早かったこともあり、名古屋からはドムドムが早くなくなってしまいました。その中でも、東海3県に唯一生き残ったのが、桑栄メイト内にある「桑名FC店」でした。
前年開業のパルでスガキヤを切り盛りしていたご主人がメイトでもテナント権を取得。ダイエー勤務の弟さんからの提案でフランチャイズで始められたのがドムドムだったのです。僕が5〜6年前にドムドムの存在を知ったときには、既に東海3県は桑名だけになっていました。
この桑名ドムドムへ行ったのは、最終的に過去2回でした。
1回目は5年前のこと。この日は朝からあすなろう鉄道に乗車し、桑名に戻ってドムドムを食べてから同じくナローゲージの北勢線に乗りに行く行程でした。桑名へ行くまでは記事にしていたのですが、ドムドムを食す手前でキーボードを打つ手が止まってしまってましたw
・・・嘘です。自分でも記事にしていることを忘れていることに後で気づきましたw
昭和レトロの落ち着いた内装で、ゆったりとした時間が過ごせました。マクドやモスにあるような喧騒感がなく、気持ちのいい空間でした。
5年ほど経つ今年に入って、もう1一度行きたくなりました。今年桑名へ行くチャンスは2度ありました。サンシパークのハードオフのオープン日は残念ながら木曜日でドムドムが定休日だったので断念。
翌月、緊急事態宣言が解除されてすぐ、ヒグチ写真店様とウェブサイトの件で打ち合わせがあり、イトケンさんと途中で立ち寄れました。
雰囲気的にはモスのそれに近いですが、モスにある派手さがなく、落ち着いた雰囲気が好きです。
価格帯的にはモスより少し安く、それでいてモスにはない美味しさがあります。モスも確かに美味いんだけど、感動はしない。でも、ドムドムの素朴な味は、頬が緩む印象深い温もりのある味でした。日本でドムドムの右に出られるハンバーガーチェーンはないと思います。
桑名のドムドムはオーナーご夫妻が一筋で続けてきたお店です。このオーナーご夫妻も親切な方で、ご高齢の身体ゆえに提供スピードはゆっくりですが、その分まったりした雰囲気を味わえました。ファーストフード店なのにスローな雰囲気だったのが、とても新鮮に映りました。
↓桑名ドムドムのオーナー様へのインタビュー記事を見つけました。
6月末で閉店、さようなら・・・
しかしながら、7月の桑栄メイト閉館に伴い、5月前後より7月閉店の話が流れ出し、5月に行ったときには既に”葬式ドムさんぽ”に来ている客もいたほどです。当初は7月20日とされた閉店日も、日に日に増す客数に耐えうることができないと判断されたのか、6月30日での閉店が直前になって急に決まってしまいました。
実際、その前の週は平日ランチのみの営業としても、かなりの”葬式客”が訪れ、高齢のご夫婦ゆえにいっぱいいっぱいだった模様。先週末は体調不良での臨時休業にまでなったようです。
最終日の30日は、僕もコロナで影響により会社が休業でしたので、行くか迷いましたが、
- 混雑が予想され、”三密”を回避できないこと
- 売切次第終了とのことで、いくら早く行っても先客の行列で購入できるかが不安だったこと
- 座席が待機列用に一部撤去されており、桑名のドムドムのウリであるマッタリ感が味わえないこと
- まだドムドムを食べたことがない人や、地元の市民の方の最後のチャンスを奪いたくなかったこと
- そして、なによりもオーナーご夫妻のご負担を考えて
以上の観点から、無念ですが、自粛しました。最終日にはイトケンさんが現地を訪れ、現場からのリポを見ることができました。
オーナーのご一家の皆様、本当にお疲れ様でした。貴重な場をありがとうございました。
東海地区にひとつは欲しい
桑名の閉店により、名古屋エリアから行ける最寄りのドムドムは、東は浜松、西は高槻や吹田、とかなり遠くなってしまい、気軽に行けないのが残念です。
ですが、ダイエーの手から離れた今、出店の制約は少なくなっているのかな、と感じます。
複数はなくて良い、けど、東海圏に1店舗は欲しいなと思ってます。名古屋の中心部にお店を構えたら、また違うファン層を獲得できるんじゃないでしょうか?
また東海地区への出店して身近で食べられる日が来ることを待ちたいと思います。
最後まで読んでいただき、
ありがとうございました!
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