低価格帯イヤホンは多数のメーカーが参入する激戦区。その中で、中華イヤホンの存在感が強くなってきています。今回、モニターレビュー用として「KBEAR KS1」をご提供いただけました。1DDのシンプルな構成でリケーブルにも対応している魅力的なモデルです。
中華イヤホンの魅力
皆さんは、イヤホンは何をお使いでしょうか?
Apple純正という安心からEarPodsの人もいるでしょうし、安価なダイソーイヤホンをお使いの方はもちろん、10万円のSTAXのポータブル+SR-003MK2で楽しんでいるマニアな方もいます。人の好みによって幅広い選択肢があるのが、今のイヤホンの楽しみの一つだと思います。
とくに1万円以下の安価なクラスは、ソニーやオーディオテクニカ等の古参メーカーから、final・ALPEXのような中堅メーカー、上海問屋に代表されるような中華イヤホン、さらには100円ショップ系のものまで、選び放題です。
その中でも、もっとも個性的と言えるのが中華イヤホンでしょう。たった3千円でハイブリッドタイプになっているモデルもあり、安価さと音質のバランスの面でもっともコスパに優れたチョイスなのです。リケーブルできるモデルも多く、ケーブル交換で音の変化を楽しみやすいのも嬉しい点です。
当方では、これまで数多くの国内ブランドの安価イヤホンをご紹介してきましたが、中華イヤホンに関してはほとんど買ったこともなく、気にはなる、くらいでした。
今回、Twitterにて、「Easy earphones」(@hulang9078)様よりレビュー用に、と中華イヤホン「KBEAR KS1」をご提供いただけましたので、実際に聞いてみました。ご提供いただきまして、ありがとうございました。
最近快進撃を続けるKBEARの新作エントリー
「KBEAR」ブランドは、中華イヤホンの中では「KZ」に次ぐ規模のイヤホンブランドのようです。KBEARのイヤホンは、KZブランドのものより音質が良好で、上位モデル「Believe」はここ最近、日本国内でも高い評価を得ています。
また、Amazonではハイブリッド仕様の「KS2」が人気を博しており、2千円台で買えるその安さが魅力です。
今回紹介する「KS1」は、そのKS2の弟分になる新しいエントリーモデルで、リケーブル対応なのはそのまま、ドライバーがダイナミック1発(略して「1DD」)というシンプルに徹した構成となっており、2千円を切る安さが最大の魅力。
日本国内では、3月10日、Amazonで販売が開始されました(2021/03/11追記)
1DDのシンプル構成+リケーブルが新鮮
カラーは白黒の2色展開で、今回選べたのでホワイトをチョイスしました。パッケージは中華らしく小型ですが洒落てます。国内メーカーには無駄にブリスターを使いまくっててパッケージのデカイのを見直してもらいたいのですが・・・。
付属品は、イヤーピースとケーブルのみで割り切っています。イヤーピースはSMLの3サイズ。
エントリーモデルとだけあって光沢のあるプラ製ハウジングで高級感はないですが、下手な安っぽさもなく無難な仕上がりとなっています。イヤーピース取付部(ノズル)は金属製で金色に処理されています。
中華イヤホンでは”シュア掛け”(※参考:シュア掛けの解説記事)を前提とした物が多いですが、本機もまた、シュア掛けスタイルを採用しています。タッチノイズが少なくて音楽に集中できる点が嬉しいですね。
本機は中華イヤホンではおなじみのリケーブルに対応しています。端子は2ピンタイプで、従来の一部のメーカー品(シュア等)との互換性がないのでケーブル購入の際は注意が必要です。
付属のケーブルは細い編み込み状になっています。編み込みタイプのケーブルは、イヤホンでは初めて見たので、新鮮です。線は細めですが、編み込むことによって耐久性の向上も期待できそう。
中華イヤホンの垣根を超える楽しい音
エージング前の評価であることにご留意ください。
全体の音の傾向としては、近年数を減らしているドンシャリタイプ。伸びも良くて、現代音楽を楽しく聴けるように仕上がっているように感じます。一昔前のドンシャリだったソニーの音に近いです。
低域の締りは良く、量感に不満を感じません。以前の国内ブランドのドンシャリイヤホンが苦手としていた解像感やコモリの問題も、最小限に抑えられています。ただ、PCではホワイトノイズの乗りが強いので、聴く機器によってはシビアかもしれません。
頭の中からズンドコ鳴ってくるのがただ単に楽しいだけでなく、どこか懐かしく感じるのも、最近はフラットな音傾向のSTAXやモニターヘッドホンに慣れた僕がここまで堂々としたドンシャリを久々に聴いているからだと思います。
先日レビューした有線ピヤホンのような低域がブーミーすぎることもなく、オーテクのように高域がキンキンすることもなく、ダイソー330円(AL)の弱点であるクセも極力抑えられていて、ドンシャリなのにくどくない味付けが個人的には気に入りました。間違いなく、国内ブランドの同価格帯よりもレベルの高い音質だと思います。
このKS1は2千円なので、同価格帯で比較するなら、今大人気のALPEXの有線ピヤホン1(HSE-A1000PN)やfinalのE1000あたりが最有力の比較候補になってくると思います。
現代音楽を聴くなら、KS1は非常にアリだと思います。ロックやヒップホップを聴くのに、ピヤホン1はやや高域が強調されていて不自然さがあるし、E1000はフラットで物足りなさを感じます。一方で、インスト系を聴くなら、音の偏りが少ないE1000が無難でしょう。
以上、初めての中華イヤホン・KBEAR KS1のレビューでした。中華ながら、国内ブランド製品と遜色ない仕上がりで満足しています。今回はモニターとのことで無償提供の形でしたが、他のKBEARの製品も今度は買ってみようかな、と思っています。
このKS1は、ヒットすること間違いないと思います。
今回はご提供いただき、ありがとうございました。