あまり、当ブログでマイナス方向の話をするのは極力避けているところではあるのですが、問題提起をしたくこの記事をできるだけ客観的な視点で書くことにしました。
ゴールデン帯アニメ、消滅へ
■テレ朝の秋改編、金曜にテコ入れ・・・?
以前から週刊誌報道でウワサされていたテレ朝の秋改編について、テレ朝サイドから正式な発表がありました。
今回の改変のメインは「金曜日」。現在20時台のミュージックステーション(Mステ)を一時間遅らせ21時台にスライド。空いた20時台は深夜帯からマツコと有吉の番組が移動。
これだけなら個人的にはまだ許せました。しかし、現在ドラえもんとクレヨンしんちゃんを放映している19時台も改編の対象に。高嶋ちさ子と石原良純がメインの番組が21時台から移動することとなり、両アニメは土曜夕方へ”左遷”されることも確定しています。改変後の放映時間はしんちゃんが16:30〜、ドラえもんが17:00〜で、コナンを含む日テレ系作品(17:30〜18:30)とはバッティングしない時間帯です。
メディア共はMステの枠移動ばかりスポットライトを当ててるせいか、アニメファン以外は気づいていない方も多いのでしょうが、金曜19時のアニメ2本が移動することで、
ゴールデンタイムからアニメが完全消滅する。
という未曾有の事態を誰も騒いでくれないのが悲しい限りです。
■ゴールデンアニメ”0″は初代「鉄腕アトム」以来?
日本初の30分アニメ「鉄腕アトム」が放映を開始してから、これまで過去にキー局系でゴールデンタイムからレギュラーのアニメ番組が0になってしまった時期は僕が確認する限りでは無いはずです。何かしら、どころか数多くの作品が各クールで生まれ、数々のヒットや人気を呼んだのです。
それこそ80年代〜90年代は各曜日19時台は何かしらのアニメがあり、アニメ番組がない日のほうが珍しかったのです。
これが21世紀に入って崩れ始めました。土曜日、火曜日、水曜日・・・と次々と年を追うごとに減少していきます。
それでも、2000年代初期はアニメ枠は決して少なくなく、母の意向もあってアニメを良く見ていましたよ。
- 月曜日:日テレ系(コナン等)
- 火曜日:テレ東系(ミルモとかやってた覚えがある)
- 水曜日:テレ東系
- 木曜日:テレ東系(アニポケ等)
- 金曜日:テレ朝系(ドラえもん等)
- 土曜日は一時期テレ朝系でしんちゃんやボーボボなどをやってましたね
- 日曜日:フジ系(こち亀とワンピ)
その後2000年代後半に入ると枠数は減少の一途をたどります。その中でも、2009年、TBSの大幅改編の裏で日テレも帯バラエティを設ける大改編を行い、その影響でコナンが土曜18時へ左遷されたのはただただ衝撃でした。
最終的に、ゴールデンタイムに残ったのは木曜のテレ東枠(アニポケとNARUTO)と金曜のテレ朝枠(ドラえもんとしんちゃん)だけになりました。
今年に入り、テレ東がその残っていた木曜のアニメ枠を春改編で廃止することとなり、アニポケが日曜18時へ移動。老舗ちびまる子ちゃんの真裏で視聴率が大幅ダウンする結果になったのは記憶に新しいことです。
結果的に、ドラえもんとしんちゃんだけが現状踏ん張ってた中で、それすらもゴールデンタイムから落ちることとなり、ゴールデンタイムからアニメが完全消滅というわけです。
先程も書いたように、鉄腕アトム以降ゴールデンタイムからアニメが完全に消えたことは僕の知る限り過去に一度もないわけで、
60年以上のテレビ史・アニメ史の中で、最大の汚点
と言っても過言ではないのです。
では、なぜこそまでしてでもゴールデンタイムからアニメを消そうとしたのでしょうか?
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なぜ、ゴールデン帯からアニメが消える?
■ライバルは他局ではなく”スマートフォン”
娯楽が少なく店が閉まるのが早かった昔であれば、夜の楽しみといえばテレビは数少ない選択肢の一つだったわけで、テレビ局サイドも他局に勝てるように番組制作してればよかった時代でした。
それが、インターネットが入ってきてその構図がガラッと変わってしまったわけです。さらにスマホが登場してやれることが増え、よりメスが入ったかたちとなりました。若い子はテレビなんか見ずにスマホゲームなり、友達とLINEなり、YouTubeで動画見たり・・・。実際大学生の下宿先とかへ行くと、テレビが置かれてない部屋も結構あります。テレビなんかなくても楽しいし、テレビ置くとNHKの受信料という存在がうざったく付いてきますからね。
つまり、テレビ局は他局はおろかテレビ以外の存在すらもライバルとして戦う必要がある。動画だけでもYouTubeだけではなく、Amazonプライムビデオ、ネトフリ、Hulu、TVerなど数多くのサービスがあり、地上波でやっている番組であってもスマホで観てしまう人も多い。
そりゃ、テレビ離れが起きて当然なんですよ。
これからテレビ業界は自滅します。ゴールデンの子供向けアニメは”将来の大事な顧客を取り込む”という存在意義が強いから。視聴率以上に、この存在意義が強い。将来の大事な顧客が来ないのであれば、いずれテレビメディアは消えてなくなります。
僕だって、小さいときからアニメのおかげでテレビを観ていたんです。小さいときからスマホだったら、そりゃテレビに見向きしないでしょうから。
ただ、今の全日帯アニメの視聴率は実際下がり調子ですから、もっと視聴率が取れそうな番組になるのは経営判断上ごもっともな話なのです。
■少子化、習い事、視聴率・・・
もっともな話、今の日本は「超高齢超少子化」であり、20歳以下の子供は10人に1人いるかいないかレベルにまで子供は減ってきています。
ですから、子供向けアニメが切られるのは需要を考えると何も不自然な話ではなく、やむを得ない話だと言えるでしょう。
実際、ゴールデン帯アニメの視聴率は年々下がっていて、アニポケのあった木曜は「VS嵐」という強敵がいて苦戦していたし、金曜も「爆報フライデー」等に押され気味で、ドラえもんの最近の視聴率は6%前後らしいので普通のバラエティなら打ち切りも視野に入る低さです。
その低視聴率に拍車をかけているのが、習い事の存在。個別指導塾が急増し塾へ通う子供も増えています。僕は複数の個別塾で講師をした経験がありますが、ドラえもんやアニポケのメインターゲット層の小学生だと多くの塾で19時くらいまでは授業がありますから、19時からのドラえもんの放送時間には間に合いません。
■アニメ界の深夜へのシフト
さらに言えば、アニメ業界自体が、子供向けから大人向けのもの、つまり深夜アニメへシフトしています。そのほうが制作費が安く、かつ儲かるからです。
全日アニメは「サザエさん」などの一部を除けば、大手スポンサーが付いて大手玩具メーカーにより玩具やグッズが商品化されます。全国ネットを前提としているため放送にかかる費用は莫大です。
対して、深夜アニメは”本編”そのものを”円盤”という形で売り出します。製作委員会方式を採っていて巨大なスポンサーは付きませんが、地上波放送を東名阪に限り他地域はBSでカバーすることによって放送にかかる費用を抑えることに成功しています。
玩具に比べ円盤は単価が高く、規模は小さくても収益は莫大、といった状況が作り出せるので、経営戦略的な面でシフトしている制作会社も数多いです。
深夜アニメは「涼宮ハルヒの憂鬱」「らきすた」「けいおん」といった作品が牽引役となってメジャーな存在になっていますが、これらの作品を制作したのが、あの「京都アニメーション」です。京アニさんはアニメの可能性を広げている一方で、子供向けアニメの衰退を推し進めてしまう要因の一つにもなってしまっていることに。他社も含め、このことには早く気づいてもらわないといけないかと思います。
新海誠は”ポスト宮崎駿”ではない
いっぽう、アニメ映画はコナンがぶっちぎりの興行収入を毎年叩き上げ、地上波では左遷となったポケモン、ドラえもん等は映画については好調をキープしています。オリジナル作品についても、新海作品を中心に好調で、邦画が全体的に低調な中で邦画産業を支える重要なポジションを占めています。
前作「君の名は。」で知名度がぐっと上がった新海誠さんは“ポスト宮崎駿”と一部から呼ばれるほど絶大な支持を持ちます。今作「天気の子」も「君の名は。」の出来の良さにつられて映画館へ足を運んだ、そういう人も多いのでは?僕も、ですが・・・。
ですが、今回の「天気の子」は個人的には残念作でした。画に関しては文句無し。ですが、新海さん、ストーリーが下手くそですね。今作も前作を踏襲・・・どころか二番煎じだと思うほど同じような演出で、観ていて盛り上がれませんでした。”ワンパターン”なのです。
駿さんのジブリ作品は子供も大人も楽しめる作風とストーリーが特徴です。つい先日も金ローで放映のあった「天空の城ラピュタ」は最大なる成功例と言っても嘘じゃないでしょう。何度観ても面白い。でなければ、毎回”バルス祭り”なんか起きませんよね。
では、新海さんの場合は?残念ながらこの人はラブストーリーしか書けません。とくに今作は警察沙汰がストーリーに組み込まれており、ファミリーで気軽に観られる作風ではないです。一度観たら充分かな。
脚本は別の誰かに任せて、新海さんは作画一本で集中したほうがよりクオリティの高い作品ができるのでは?と思っちゃいます。この人に宮崎駿の後任は現状のままでは到底無理な気がします。
アニメファンは悲しみに暮れている
アニメファンは悲しみに暮れています。京都アニメーションへの放火事件という痛ましい出来事もあったばかりで、アニメ界は最近とにかく辛い話が多いです。日本のアニメ業界が日々衰退していくのを私たちは観ていることしか出来ないんでしょうか・・・。
中国や韓国に主力を取られないううちに、日本のアニメが復活できる日が来ることを祈りたいものです。
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