鉄道模型ビギナーさん向けの解説シリーズです。
今回はコントローラー(パワーパック)について解説します。
鉄道模型を動かすのに必須のアイテム
鉄道模型を動かすのに必要なコントローラーのことは、一般に「パワーパック」と呼ばれています。
一部の例外はありますが、コンセントから電源を取りその電気で車両が走ります。
今回はこのパワーパックを、KATO、TOMIXの現行機種にフォーカスして、どんな種類があるのかを解説していきます。ちなみにTOMIXでは「パワーユニット」と呼んでいますが、同じものです。この記事では「パワーパック」に呼称を統一します。
まずは、パワーパックに共通する基本事項を説明します。
■定格出力について
パワーパックには機種ごとに「定格出力」が定められていて、その定格出力以下の出力容量で走行させる必要があります。
パワーパックの定格出力を超えてしまうと、ショートしたり、パワーパックや車両が故障するおそれがあるからです。
Nゲージを走行させるのに必要な消費電流の目安は概ね以下の通りです。(mA:ミリアンペア)
Nゲージ製品 | 消費電流 | 使用数 |
動力車(モーター車) | 最大300mA | 1両につき |
ヘッドライト | 60mA | 1両につき。LEDの場合は半分以下 |
テールライト | 60mA | 1両につき。LEDの場合は半分以下 |
室内灯(電球) | 最大60mA | 1両につき |
室内灯(LED) | 25mA | 1両につき |
ポイントレール | 150mA | 個数関係なく |
レールクリーニングカー(TOMIX) | 最大300mA | 1台につき |
※「TOMIX総合ガイド2017-2018」P326掲載の表から抜粋・編集。消費電流量は基本的にメーカー関係なく同じくらいです。
これをもとに実際に計算してみましょう。
①3両編成を走らせる
ヘッドライト60mA + テールライト60mA + 動力300mA = 420mA
②3両編成にLED室内灯をプラス
ヘッドライト60mA + テールライト60mA + 動力300mA + LED室内灯25mA×3 = 495mA
③ポイントのあるレイアウトで8両編成(電球室内灯付)を走行させる
ヘッドライト60mA + テールライト60mA + 動力300mA + 電球室内灯60mA×8 + ポイント150mA = 1050mA
①②の場合は入門用でもちゃんと動きますが、③の場合は1000mA(1A)を超えてしまうので入門用では対応できないものもあります。
なおこれらの値はあくまで目安かつ理論的な値なので走行条件によって実際は異なることに注意してください。
ただし、最近の車両製品はLEDが多用され長編成でも消費電流がかなり少ないので、基本的に気にしすぎる必要はありません。
■常点灯とは?
常点灯とは、停車状態でもヘッドライト・テールライトや室内灯が点灯するシステムのことをいい、KATO、TOMIX両社とも独自のシステムで対応しています。
常点灯に対応したライト基板・室内灯と常点灯対応のパワーパックが必要です。車両側はKATOおよびTOMIXの現行製品は常点灯対応が標準装備となっています。
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KATOユニトラック用
KATOの現行機種を紹介します。
■パワーパックスタンダードSX
出力:1.2A
常点灯:○
2017年末に登場したスタンダードSの後継機。
出力が1.2Aに増強され、常点灯機能も追加されたのが大きな特徴。
そのかわりACアダプターが別売りとなり「N用ACアダプター」が必要となる上、このため価格は上がっています。
それでもコストパフォマンスに優れている点に変わりありません。セット品も順次こちらに切り替わってきています。
■パワーパックハイパーDX
出力:2A
常点灯:○
KATOパワーパックの上位機種で、2Aの高出力でかなりの余裕があります。
起動電圧の調整ができるほか、高級感ある黒色仕上げのデザインも大きな特徴。
電球室内灯を積んでフル編成でバリバリ走らせたい人におすすめ。
■スマートコントローラー
出力:2A
常点灯:?
KATO初のワイヤレスコントローラーで、Bluetoothを利用してiOS/Androidデバイスで操作できる最新鋭の製品。
ワイヤレスなので好きな角度で列車を眺めつつコントロールが可能。サウンドボックスとの相性も抜群。良心的な価格なのも嬉しいです。
欠点を挙げるとしたらポイントの無線操作には非対応なところで、ポイント込の操作性はTOMIXのN-WL10-CLに軍配。
22-019 スマートコントローラー(ACアダプター別売)[KATO]《発売済・在庫品》 価格:10,200円 |
TOMIXファイントラック用
TOMIXの現行機種と、セットにのみ付属している機種もあわせて紹介します。
■N-600
出力:1A
常点灯:×
TOMIXのエントリーモデルで、スターターセットにも付属するベーシックな機種。
ダイヤルを回して操作するシンプルなもので、出力は1Aと不足感はありません。KATOのスタンダードSが型落ちとなったため、Nゲージで最安のパワーパックとなりました。
色は単品売りがブルー、スターターセットのものは寝台特急のセットが緑でその他がグレーです。
■N-1001-CL
出力:1.2A
常点灯:○
常点灯対応の普及型モデルで、レンタルレイアウトの定番。
操作性はN-600とほぼ変わらないシンプルさがウリで、かつN-600よりも低速走行が安定して行えます。
室内灯まで組み込もうと思う人はこちらを選びましょう。
■N-DU101-CL
出力:1.2A
常点灯:○
スペックはN-1001-CLと同等ながら、近年の車両に多いワンハンドルマスコンを模した運転台タイプです。
実車同様に段階的な加速と減速が可能で、実際に運転しているような雰囲気が味わえます。
■N-DU204-CL
出力:1.2A
常点灯:○
こちらはツーハンドルマスコンを模した運転台タイプで、N-DU101-CL以上に実車を運転する雰囲気が味わえますがその分値段は高いです。
徐々に速度が下がる惰行運転が可能なほか、現行モデルでは定速モードも追加され操作性が改善しています。
■N-WL10-CL
出力:1.2A
常点灯:○
ワイヤレスコントローラー。メインユニットを据え置き、コントロールユニットを分離させて無線操作できます。
スマホ操作でないので手持ちのスマホの対応具合やBluetoothの安定度などを気にせず楽しめるのが利点。
ポイントも2個まで無線操作が可能となっています。ちょっとお高めですがオススメ。
■番外編1:FG-17
出力:0.5A
常点灯:×
FG-17は「鉄道模型ファーストセット」「ミニ鉄道模型運転セット(現行品)」「ワイドトラム鉄道模型運転セット」にのみ付属される小型コントローラーです。
出力は500mAと少なめですが、短編成なら充分なスペックです。
何より問題なのがポイントに非対応な点で、ポイントを使う際は手動操作になります。
■番外編2:N-400
出力:0.4A
常点灯:×
こちらは「ミニ鉄道模型運転セット(旧製品)」「きかんしゃトーマスセット」「きかんしゃパーシーセット」にのみ付属する小型コントローラー。
出力が400mAと少なく、鉄コレ車両など小型車両向けに用途が限定されています。
こちらは本体にポイント切り替えスイッチが付いていて2個まで操作できます。
[鉄道模型]トミックス (Nゲージ) 93705 きかんしゃトーマスセット 価格:10,432円 |
■番外編3:TNOS
出力:1.2A(2列車まで)
常点灯:○
通常のパワーパックの代わりにTNOS制御システムを組み込むことができます。
TNOSは本物と同様に”閉塞”を用いて自動運転を実現させたもので、列車交換、追い越し、折り返し運転などを自動化できます。
ただしこれは上級者向けのものです。
サードパーティ製のおすすめ
サードパーティ製からは、コスミックさんがオリジナルのパワーパックを多数発売しています。
また自作も可能な分野なので、電子工作に詳しい方は自作できます(回路図はネット上やTMS等の模型誌に多数)し、電子工作初心者向けのキット製品も一部店舗で入手できます。
サードパーティで、一つユニークなものを紹介します。
■ロクハン e-トレインコントローラー
出力:1.5A
常点灯:?
Zゲージメーカー・ロクハンのパワーパックですが、NやHOでも使用可能なスマホ操作タイプの機種です。
イヤホンジャックを介した有線接続と、市販レシーバーを利用したBluetooth接続が選択可能。
サウンド機能を有するだけでなく、DCC運転も可能でDCCを使用した自動運転も思う存分楽しめます。
価格:19,820円 |
まずはセットに付属のものを
パワーパックって現行機種だけでも結構な種類があって迷われる方もいるかと思いますが、前回記事でも触れたようにレールとパワーパックは原則同じメーカーで揃えてください。
どうしても異なるメーカーにしたい場合、コスミックから出ているフィーダーコードを買えば解決します。
これから始めるビギナーさんの方は、スターターセットやレールセットに付属しているスタンダードSXやN-600のような普及型モデルで始めてみて、どこかで不足を感じたらその際にステップアップしてもいいと思います。
次回はいよいよそのスターターセットについて解説します!
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