MS Officeと互換のあるオフィスソフトとして人気の高いキングソフトのWPS Officeは、日本版の他に海外版も使用可能です。海外版では、年3200円のサブスクで日本版にはない機能が使えます。海外版を契約して、その使い勝手を探ってみました。
海外法人版WPS Officeを発見
キングソフトの「WPS Office」は、Microsoft Office(以下「MS Office」)の互換オフィスとして人気の高いツールです。MS Officeと比べて大幅に安い価格で同等機能を使用することができ、買い切りなのでムダがありません。
MS Office 365のサブスクリプションが結構負担と感じたので、数年前から無料のLibreOfficeを使っています。
ただ、LibreOfficeはMacとの相性が悪く、iMacではカクカクでマトモに動作せず、今のMacBook Airでも文字化けや線種など機能しない部分があり、オフィスツールのためにWindowsマシンが必要な状況が続いていました。
去年キングソフト日本法人からMac版が出た際は、実際に日本版WPS Officeを試用してみましたが、価格の割には互換性がイマイチに感じ、結局購入には至りませんでした。Lなので、ibreOfficeのほかGoogleドキュメント等を併用していました。
ただ、iPadを購入してから、メモを1つのアプリに統合することに決め、機能面でマイクロソフトのOneNoteにしたので、それに合わせてMicrosoft365を導入しようかと思っていたタイミングでした。
MacにOneNoteを入れようとMac App Storeをブラウジングしていたら、たまたまWPS Officeアプリを発見。日本法人が出してるのかと思いきや、海外法人(?)が出してるみたいです。
アプリの説明文には、基本無料で使用でき、日本語に対応、サブスク「WPS Office Plemium(VIP)」でフル機能、という旨が記載されています。サブスクはMicrosoft 365の半額以下の月額450円・年額3200円で、もれなくクラウド20GB付いてくるようです。
これ、日本法人版買うより得なんじゃないか・・・?
日本法人版より断然安い
どうやら、日本以外の各国では、WPS Officeは基本無料でオプションで有料のサブスクを持つサービスとして展開されているらしいです。日本はサブスクを嫌う層が結構いるのとVBAの需要の高さなどの背景から、日本法人だけ独自の製品展開をしているようにみえます。
海外法人版も日本語に対応していて、Mac上の決済も日本円でできることや公式サイトの決済はJCBカードも使えるようなので、日本ユーザーの利用も想定はされているようですので、日本人が日本法人版ではなく海外版を使ってもとくに問題はなさそうです。
日本法人版は1パッケージ1PCで、PC1台毎に購入が必要で、複数端末からアクセスしたい場合は都度購入が要りますが、海外版ですと2〜3台なら1サブスクで全然使えるようです。
また、モバイル版の機能もサブスクに内包されています。日本法人版は広告解除はデスクトップ版でできるものの、フル機能を使うには別途4千円するモバイル版の購入も必要になってきます。
なので、複数デバイスで使う前提なら海外版のほうが圧倒的にお得です。20GBのクラウドは365契約で1TB使えるOneDriveに比べると控えめですが、WPSのファイルを保存するだけなら充分余裕あるでしょう。
また、海外版のサブスクでは、PDF周りの機能が大幅に強化されていて、PDFからワードやエクセル形式への変換も容易です。PDFからの変換は、日本法人版では実装されていないようです。
一方、日本法人版はWindows版の上級パッケージでVBAが使えることや、特別フォント・クリップアートなどが使えるというアドバンテージがあります。サポートも日本国内からになるので、手厚くなるメリットがあります。
WPS Office VIPへ課金してみる
僕の場合はMacBook Airはもちろん、iPadやWindowsマシンでも使いたいので、海外版のサブスク「WPS Office VIP(Premium)」に課金してみます。
決済はwps.com上から米ドルでのクレジット決済のほか、Apple端末からは日本円でApple ID決済での支払いができます。Macアプリでは月契約と年契約の2択ですが、iPhone・iPadアプリからは1080円の3ヶ月契約もチョイスできます。今回は、iPadから3ヶ月契約で申し込んでみました。
支払い処理はすぐに反映され、20GBのクラウドもすぐ使えるようになりました。
これまでLibreOfficeで編集していたエクセルファイルを開いたところ、縦方向が縮んでしまっていて、やはりそれほど互換性は高くありません。これは、去年日本法人版のMac版でも同様でしたので、販売元に関わらずWPS Officeの欠点といえそうです。
MS系の標準フォントは海外版でも収録されています。日本語表記は日本法人版に比べたらちょっぴり簡素ですが、明らかに翻訳が破綻している部分やLibreOfficeであったような文字化けは発生せず、海外製のソフトとしては充分合格点。
肝心の動作ですが、クラウドに保存したファイルを開いて編集する際のレスポンスはイマイチで、ラグが発生しやすいです。ローカルでファイルを編集しているときは、次第点だと思います。
LibreOfficeはUIにクセがあって扱いにくい部分が結構ありますが、WPSでは直感的なUIになっていて、操作で迷う部分はそれほどないように感じます。海外版Mac版の操作感は、日本法人版と大差ないレベルです。
海外版サブスクがウリにしているPDFからの変換も試したところ、ワード・PPTは概ね良好。レイアウトの崩れも手作業で直せる範疇なので気にはなりません。PPTは予想以上にいい結果だと思います。
ただしエクセルでは完全にレイアウトが崩れ、使い物になりません。いずれも、画像の輪郭のぼかしまでは再現できませんでした(WPSで非対応なのでしょう)
まとめ:海外法人版を買うと正規の方法で大幅に安くできる
このように、WPS Officeは日本法人から購入せずに海外法人から直接買うことで、安くなる場合があります。
ただし全機能を使うにはサブスクの契約が必要となってくるので、使っている間ずっと料金が発生します。長いスパンで使うことを考えている場合は、日本法人版のほうが安く済む可能性もあります。
また、PDFとの相性はそこそこ良くても、MS Officeとの互換性はあまり高くないです。ビジネスや学業で使う場合は、Microsoft 365を契約しMS Officeを使うのが確実です。
逆に、MS Officeとやり取りせず、自宅のスタンドアローンな環境で趣味用途として使うなら、大幅に安くできるWPS Officeは非常にアリな選択肢だと思います。
このような人は海外法人版WPS Office(サブスク)がおすすめ
- 多数のデバイスから使いたい人
- 初期導入の際の費用を極限まで抑えたい人
- Apple端末を多用する人
- Apple IDを持っていて、キャリア決済やクレカが使える人
- Linuxを使用している人
- PDFを多用し、PDFからオフィスデータへの変換をしたい人
- サポートが不要で自力で解決できる人
このような人は日本法人版WPS Officeがおすすめ
- 使うデバイスがPC1台+タブレットのみの人
- プレゼンテーションを使わない人
- VBAを使いたい人
- クラウドは他社のサービスで別途用意している人
- 3年以上使う予定の人
- サブスクが嫌な人
- クレジットカードを持っていない人
- 国内でサポートを受けたい人
このような人はMS Office(Microsoft 365)がおすすめ
- 仕事で使う人・法人
- 大学生など学業で使う人
- 大容量のクラウドが使いたい人
- 中国企業を避けて、安心を買いたい人
- SkypeやOutlookを多用する人