米国のスピーカーブランド「インフィニティ」の中で、日本で最も売れたのがエントリーモデルの「Reference ONE」でした。今回はこのReference ONEのジャンクを安く買って、エッジの修理をしました。コンパクトな筐体から出てくる音とは!?
Infinityの90年代エントリーモデル
アメリカ東海岸に拠点を持っていたスピーカーブランド「Infinity」。1000万円以上もする超弩級のIRSシステムからコンパクトなインフィニテシマルに至るまで、妥協のない音作りで高い評価を得ています。
とはいえ、モニタースピーカーとしてJBLやタンノイがバカ売れしていた裏でInfinityは割とひっそりとした存在でした。当時のInfinity本社が高級機に注力していたこともあり、テシマルが現行モデルだった頃は日本国内ではまだメジャーな存在とまではなっていませんでした。
その後時代は進み、代理店がアカイ[1]赤井電機の子会社・赤井商事が代理店からデノンラボ[2] 日本コロムビアの手掛けるDENONの子会社 に変更となってから、その流れは変わります。AV需要の高まりを受けてか、Infinity本社も主力商品をRS(Reference Standard)シリーズから、高級志向の「Kappa」とエントリー向けの「Reference」の2系統に切り替えました。
バブル崩壊の影響もあって大型の高いスピーカーが売れなくなったためか、複数の海外ブランドを輸入していたデノンラボ側はエントリーモデルの販売に注力する方針で展開していきます。Infinityも例外ではなく、「Reference」シリーズを主力商品として展開がなされました。
そのReferenceシリーズの末弟が「Reference ONE」でした。密閉型エンクロージャーを採用して、上位モデル譲りの音質を再現しつつも、コストダウンを図ったモデルです。このReference ONEはInfinityブランドではベストセラーに。現在でも中古でよく見かける機種です。
エッジ修理
近所のハードオフへふと定期巡回に行きたくなり(笑)、その時にタイミング良く見つけたのが、このReference ONEでした。
お値段は¥3,300で、ウーファーエッジは死んでましたがヤフオク相場を考えるとそこそこ値打ちではある感じでした。迷わず買ってきました。
奥行きは短く、コンパクトな筐体。端子はワンタッチ式へコストダウンされています。
ウーファーエッジが死んでいるので、エッジを調達します。ただし、オークションで見ているとReference ONE専用と謳われているものはどれも値段が高額で、3千円スピーカーに5千円以上などとても出せそうにありません。
そこで、今回はファンテックのHPでサイズを調査し、近いサイズのスピーカーのエッジを調達することにしました。結果、FOSTEXのFF165Nというウーファーがサイズ的にも近そうでコチラならエッジも安価ということでFF165N用のゴムエッジを、いつもの(??)宮城の業者さんから¥1,500+送料で調達しました[3]Control1のときもARのときも宮城県内から届いた。アカウントは別だが同じ業者で社名も同一だったはず。。
ウーファー周りの4つのネジを外し、ガスケットの役割をしているカバーを剥がす必要があり、以前のAR TSW-210と比べると手間取ります。
ですが、カバーが外れたあとは比較的スムーズで、一日でエッジ剥がしから新エッジの貼り付けまで行えました。
ただし、今回のエッジ選びは結果的に失敗でした。ロールの内側の部分が細く内径もゆるめだったので、接着部分が少なくボンドで接着する際に苦労しました。それでも、なんとかなりましたがw
ストレートで素直な音が良い
修理が完了したので、早速聴いてみました。
ストレートでクセの少ない出方です。ジャンクでこの値段[4]5,000円以下で買える安いスピーカーの中では飛びぬけています。
決して量は豊富とまでは行きませんが、不足感は全く感じられず、 健闘していると思います。粒立ちはやや荒い感じもしますが、 ノイジーだとかボケが気になるとかという気持ちにはなりません。ストレートな音は長時間聴いていても疲れにくく、快適そのものです。
低域は量は多くないものの、引き締まっていて落ち着いたトーン。中広域も暴れることなく柔和な表情をしていて、全体的に優しめです。
若干トロ臭さは気になるものの、クラシックやジャズでまったりするのも一興ではないでしょうか。ミニコンポだけでなく、エントリークラスのアンプで鳴らすにはちょうど手頃で良いスピーカーです。
エッジ修理品を買うと割と高価になるInfinityのスピーカーですが、エッジ破損品を買ってエッジ修理を自ら行うと、めちゃくちゃ安く済みます。ウーファーを外してエッジカスを剥がして新しいのを貼り付けるだけなので、オーディオ修理の中では最も易しいレベルです。ぜひチャレンジしてみてください。
脚注