最近、100%GPLの日本製テーマが充実してきました。この記事では、定番の「Lightning」「Cocoon」などの無料テーマから、「Snow Monkey」「SWELL」といった有料テーマ、「Katawara」「Arkhe」などの最新テーマまで、幅広く100%GPLテーマを紹介します!
当記事の内容に誤った内容やまずい記載がある場合は、ご指摘をお願いいたします。
充実してきた日本製100%GPLテーマ
WordPressは「100%GPL」を推奨しており、公式ディレクトリに登録されるのに必須の条件となっています。
これまで日本製テーマはスプリットライセンスのテーマが主流でした。
一方、Gutenberg(ブロックエディタ)の普及とともに、無料/有料問わず100%GPLライセンスのテーマが登場し、シェアを上げています。複数サイトで使えるなどの利点から制作サイドの支持も高く、WordPressのブロックエディタへの移行でテーマの依存度が下がったことから、非GPLテーマより安価なGPLテーマでも満足行くクオリティのサイトが作れるようになってきたのです。
今回は、100%GPLライセンスの日本製テーマを、可能な限り紹介したいと思います。
100%GPLとは何か?
まず、「GPL」とは「General Public License」の略です。WordPress公式では、100%GPLを「PHP のコードのみではなく、その派生物に含まれる JavaScript・CSS・画像・音声ファイル・アイコン・フォントなどすべてのアセットに対して GPL または GPL 互換ライセンスを採用すること」と定義しています。
言い換えると、「自由に再配布、改変などができる」のです。非GPLテーマは”1ライセンス1サイトのみ”となっていることがほとんどですが、100%GPLでは、一度のダウンロードで複数サイトで使用することができます。既存テーマを使って制作を行う業者さんや、複数のサイトを所有する人にとって、これは大きなメリットです。
その観点から、非GPLテーマでは”テーマ本体”が販売されますが、有料の100%GPLテーマでは”サポートが受けられるライセンス”を販売する形で提供されます。
ちなみに、WordPress本体ももちろんGPLライセンスに則っているため、再配布、改変などはユーザーで自由に行えるようになっています。これがWordPressの自由度の高さにつながっているのです。
無料で使える100%GPLテーマ
yStandard(ワイスタンダード)
「yStandard」はよしあかつき氏が個人で開発をされている無料テーマです。「カスタマイズありき」と謳われているように、CSS等でのカスタマイズ性が高く、味付けをユーザー側で自由に行えるテーマになっています。
素の状態はユニクロの無地のごとく超シンプル。サイトを作る工程を楽しめるよう配慮されています。ゆえに中〜上級者向けで、フォーラムのサポートも薄め。
専用のブロックエディタ拡張プラグインのほか、機能を拡張する有料プラグイン「Toolbox」も用意されています。趣味サイトや個人ブログなど、自分のサイトを凝りたい人にピッタリです。
当ブログの姉妹サイト「てつぱら!アーカイブ」は、このテーマを使っています。
Cocoon(コクーン)
「Cocoon」はわいひら氏が個人で開発をされている無料テーマです。無料テーマでありながら非常に高性能であることやアフィリエイト向けの機能が充実していることから、多くの個人ブログで採用されているテーマです。当ブログも過去に使っていました。
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多機能なため公式ディレクトリ準拠のテーマではありませんが、信頼性は高いです。公式フォーラムにはわいひら氏も積極的に顔を見せるため、有料テーマのフォーラムとほぼ大差ないレベルでサポートが受けられます。
設定がわかりやすく多彩であることやスキン機能を使ったデザインチェンジも可能で、初心者にもおすすめです。
難点を上げるならば、独自機能が多く、Cocoonから他テーマへの乗り換えが面倒な点はイマイチです。プラグインが不要になる点はありがたいですが、機能が多い分テーマ自体が重く動作速度の面ではメリットは薄いです。また、全幅を使ったワンカラムサイトの構築には不向きです。
Lightning(ライトニング)
「Lightning」は名古屋に拠点を置く㈱ベクトルの無料テーマ。スッキリかつシンプルなデザインが特徴で、同社の強みであるビジネスサイトの構築にピッタリ。実際、多くの企業公式サイトでも用いられている定番テーマです。
同社の「VK Blocks」等の各種プラグインを使用すれば、豊富な機能を使用できるようになります。
2021年5月にG3へ進化したことで、テーマ本体の構造が大きくリニューアルされ、デザイニングの自由度が増しています。
無料版はサポートが受けられない点とコピーライトにLightningうんたらの一文が表示される点が難点です。有料のプラグイン「G3 Pro Unit」を追加することで消すことが可能です。
LIQUID(リキッド)
「LIQUID」はリキッドデザイン㈱の無料テーマで、「LIQUID PRESS」シリーズの無料版という存在です。
最大のポイントは独自機能「レスポンシブプラス」を採用している点。通常、WordPressのレスポンシブテーマではモバイル版はモバイル版のみがデフォルトですが、このテーマではモバイル環境でもモバイル表示とPC表示を切り替えができることが可能です。(同社のプラグインで他社テーマでも対応できます)
ただし機能は少なく、ペラサイトや小規模ブログ向けです。有料版「LIQUID LIGHT」の無料お試し版を使うほうが、まだいいかなという気がします。
Arkhe(アルケー)
「Arkhe」は、㈱LOOSの了氏が開発をされている無料テーマ。コーポレートサイト制作に最適化されていますが、ブログ系でもイケそうです。
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コンセプトは「yStandard」に近く、素は超絶シンプルで、カスタマイズを前提とした作りとなっています。(開発者曰く、「ySandard」と「Snow Monkey」のメリットをいいとこ取りをした「SWELL」無料版という位置づけらしいです)
面白いのは、テーマ自体は無料ですが、専用プラグインやライセンスが販売されている点。ライセンスは年間契約で個人向けとプロ向けがあり、フォーラムへの参加や専用プラグインのアップグレードが可能になります。
さらに、専用プラグイン「Wookit」を購入することでWooCommerceにも対応。
「yStandard」同様に自サイトを作る楽しみを得られますし、プロライセンスを購入すれば受託制作でも使い物になる面白いテーマです。
現在、当ブログ本館と姉妹サイト「てつぱら!写真さんぽ」はこのテーマを使用しています。
Emanon Free
後述する「Emanon」の無料版。「Emanon Pro」の無料お試し版という位置づけとしてだけでなく、無料テーマとして使用できます。ただし公式ディレクトリ掲載テーマではなく、公式サイトからフォームの入力が必要です。
機能は有料版から削がれていますが、他社の無料テーマ並の機能を持っています。
Nishiki(にしき)
サポトピアの無料テーマ。さまざまなスタイルのサイトに対応できる万能型のデザインと機能を備えており、yStandardやArkheと同様、カスタマイズを施すことで美しいサイトを構築できます。もちろん、ECサイトにも対応しています。
無料版はカスタマイズ機能が削られており、WordPressやウェブの知識が豊富な方向けに作られています。コーディングせずにカスタマイズしたい人は有料版(Nishiki Pro)が良いでしょう。
高性能が嬉しい有料100%GPLテーマ
Lightning G3 Pro Pack
先述した「Lightning」の有料版です。無料版の機能に加え、コピーライト表記の変更、デザインスキンによる切り替え、お問い合わせ部のヘッダーへの表示などが可能なほか、ブロックプラグインも「VK Blocks Pro」を利用できるようになります。
2021年5月の「G3」リリースで、テーマ本体ではなくプラグイン「G3 Pro Unit」を購入するかたちでの課金形式となりました。なので、テーマ本体そのものは無料版のLightningです。(「Lightning Pro」の後継であることをわかりやすくするために、当面の間有料テーマとして扱います)
ライセンスは1年契約ですがサブスクではないので次年度以降のライセンス更新は任意。ただし、フォーラム参加やアップデートは有効なライセンスが必要です。
ベクトル社のストアでは、デザインスキンや、各種業種での利用を想定した雛形テンプレートが用意されているのが嬉しい点です。内容を書き換えるだけで、すぐ見栄えのあるサイトをサクサクと作ることが可能になります。また、WooCommerceにも対応していてECサイトの構築にもオススメ。
付属する「VK Blocks Pro」はアウターやスライダーなど魅力的な機能が追加されています。
従来の「Lightning Pro」は販売終了となりました。従来からのユーザーは引き続き「Lightning Pro」の継続使用とサポートが受けられます。
Katawara(かたわら)
「Lightning Pro」をベースに、買い切り型に変更したベクトル社の新テーマ。年間ライセンスから買い切り型へ変更されたことで、より受託制作でも使いやすいように配慮がなされています。
機能面では「Lightning Pro」と同等ですが、無駄な余白を省き、PC版ではヘッダーが左固定となりました。これによりスタイリッシュなデザインを実現。ビジネスサイトはもちろん、個人ブログでも充分通じるデザインになっています。
このテーマでも「VK Blocks Pro」が付属しています。
デザインの仕様上、サイドバー付のサイトには不向きです。また、PCヘッダーの位置は変更できないため、カスタマイズ性では他テーマに劣ります。
なお、今後「Lightning」系で実装される大幅な機能追加については原則なされないようになっているので注意が必要です。
私が制作した「チャレンジ!!ボッチャ駒来」および「ヒグチ写真店」様のウェブサイトはこのテーマで制作しています。
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WordPressテーマを「Katawara」へ変更しました
Snow Monkey(スノーモンキー)
「Snow Monkey」は、モンキーレンチのキタジマタカシ氏が開発なされている有料テーマ。年間のサブスクテーマでGPL有料テーマとしてはやや高額ではありますが、その額に見合うだけのスペックを有しており、徹底したサポートとアップデート体制が取られています。
専用のアドオンやスキンの変更なども手軽。「Snow Monkey Blocks」や「Snow Monkey Editor」と合わせて使うことで、魅力度が増します。この2プラグインは公式ディレクトリに登録された無料プラグインで他テーマでも一部機能を使うことができるため、全てのWordPressユーザーが美しい見栄えの通知ボックスやボタンなどを使うことができます。
テーマそのものも軽量に作られていて、WordPressの最新のアップデートにもいち早く対応しているため、受託案件でも安心して使用することができるテーマです。
購入前にお試しができる点も安心です。
SWELL(スウェル)
「SWELL」は、先述の「Arkhe」を開発している㈱LOOSの有料テーマ。買い切りで使いやすく、専用の「SWELL BLOCK」など、多彩な機能を有している、ブログ向けテーマです(コーポレートサイトでも使えます)
1カラムでも2カラムでも美しいデザインを実現できています。
トップページのヘッダーには動画を入れることが可能であるなど、他テーマにはない機能も豊富です。何より嬉しいのは、「JIN」「SANGO」「Cocoon」等の主要テーマからの乗り換えが容易であること。GPLでなく使い勝手もコスパもイマイチな有料テーマからの乗り換えにも最適です。また、独自機能が多く乗り換えしづらい「Cocoon」からスムーズに乗り換えができる点も◎
ひとつ難点を挙げるとしたら、設定の項目がカスタマイザーと専用の項目に分散しているのがちょっと難です。あと高性能テーマゆえに動作はやや重めなので、PageSpeed Insightsのスコアが低いときは高速化の設定を行ってください。
LIQUID PRESS(リキッドプレス)
㈱リキッドデザインが販売する有料テーマ群。「LIQUID PRESS」はテーマ名ではなく、同社のテーマのシリーズ名です。
目的のサイト別に8種類のテーマが販売されていて、テーマごとに価格や内包の機能が異なります。テーマは買い切りで1つ単位で変えるほか、全テーマが使い放題のサブスクプランも選択可能です。
無料版の「LIQUID」同様に「レスポンシブプラス」を採用。モバイル環境でも、PC表示とモバイル表示を切り替えることができます。
日本制テーマで唯一有料テーマとして公式ディレクトリに登録されているため、信頼性が高く、安心して使用することができる点も特筆点です。
Emanon(エマノン)
㈱イノ・コードが開発販売する、100%GPLの有料テーマ群。ビジネス用途に特化し、SEO対策や集客機能が充実しているのが特徴です。もちろんランディングページの作成機能を最初から持っており、やや高価(買い切り)ですがコーポレートサイトとの親和性は高いものとなっています。
Emanonの有料テーマには3種類あり、ブログ向けの「Emanon Pro」、コーポレートサイト向けの「Emanon Business」、ハイスペックな「Emanon Premium」が用意されているので、予算や求める機能に応じて選択できる点が嬉しいですね。
Nishiki Pro
上記「Nishiki」の有料版。コーディングの知識がなくてもカスタマイズできるよう一般向けのテイストになっています。
購入にはサポトピア会員にることが必須。無料お試し版をトライでき、登録キーを購入するだけでアップデートやサポートが受けられるようになります。
ポップな感じの個人ブログやウェブサイトにも向いています。ECサイトの構築も可能で、WooCommerce用に特化したパッケージも用意されている点がユニークです。
isotypeシリーズ
「isotype」はFrontline Marketing Japan株式会社が販売する、有料WordPressテーマの製品シリーズです。
日本語テーマである利点を活かすために、日本語Webフォントを収録。機能性と美しさに重きを置き、ワンカラムでも2カラムでも移しいWordPressサイトを構築できます。また、トップページのヘッダーのカスタマイズ性が高かったり、全幅でGoogle Mapを埋め込めたりと、多機能です。
「isotype」のテーマは予算やデザインに合わせて8種類用意されていて、どのテーマを購入しても美しいサイトを構築できるように配慮されています。
まとめ:100%GPLで配布されているテーマに乗り換えよう!
ここまで、100%GPL日本製テーマをざっと紹介してきました。
これからは、これらの100%GPLテーマがWordPressテーマの主力になっていくのは間違いないと思います。やはり、自由度の高さは大きな魅力ですね。
今非GPLテーマを使っている人も、ぜひ100%GPLテーマに乗り換えてみましょう!