どうも、みずにゃんです。
先日、当ブログにて「サラブレッドコレクション製品リスト」ページを公開しました。まだ全然未完成の状態なのですが、わずか2年もしないであれだけのバリエーション展開ができるというのは正直驚きでしかありませんでした。それだけ人気のシリーズなんです。
なぜ、この不況下でも競走馬のぬいぐるみは好調なのか。競走馬のぬいぐるみの歴史を交えながらその理由を探っていくことにします。
すべては、伝説の芦毛馬から始まった
競走馬のぬいぐるみはおろか、競馬グッズの歴史は意外と古いものではありません。なぜならば競馬はギャンブルであり、かつてはギャンブルをネタにしたモノを売り出すこと自体が社会的に”禁忌”だったからとみていいでしょう。
その状況を塗り替えたのが、競馬を知らない人ですら知っているであろう伝説の芦毛馬「オグリキャップ」です。もともとのオーナー・小栗孝一氏から同馬を購入し中央競馬に移籍させた佐橋五十雄氏は名古屋にある玩具メーカーの経営者だったそうです。
佐橋氏は脱税で有罪となり馬主からは下りたものの、オグリキャップの名を商標登録し、まだ現役時代の1989年、佐橋氏の会社「株式会社アバンティー」からオグリキャップぬいぐるみが発売されます。第二次競馬ブーム、そしてバブル経済のさなか、オグリキャップぬいぐるみは瞬く間に大ヒットして、結果的に競馬の世界は女性や若者へと裾野を広げていったのです。
競走馬ぬいぐるみのルーツ アバンティー製ぬいぐるみ
アバンティーはオグリキャップの成功を見て、競走馬ぬいぐるみのシリーズ化を図っていきます。一般販売されるものだけでなく、プライズ品の監修も行っています。競馬場内のターフィーショップでも流通する(つまりJRA公認)ほどで、90年代~2010年代にかけて競走馬ぬいぐるみのデファクトスタンダードになっていきます。
今回、実家からアバンティーが監修しセガが1995年にプライズ景品として販売した当時もののぬいぐるみを発掘しました。
真ん丸いボディと白い鼻先が特徴的です。
この背が丸いフォルムはアバンティー型の特徴で、様々なサイズ展開がされています。
競走馬ぬいぐるみをまとめておられる方のサイトがあり、そのサイトの情報を参照すると、アバンティー型のぬいぐるみはわりと最近まで製造されていたのがわかります。アバンティー型のアーモンドアイぬいぐるみが発売されているためです。
Google検索で株式会社アバンティーと検索しても該当しそうな情報は見当たらず、現状を窺い知ることはできません。2014年時点でアバンティーが生産を停止しているという情報も出てきますが真相は不明です。
ただ、最後となったアーモンドアイは2017~2020年が現役期間で、製品化ラストの「第160回天皇賞・秋」は2019年のレースですから、時期的にコロナ倒産ではないのか、と僕は推測しています。
そもそもJRAサイドが既にアイドルホースぬいぐるみに移行しているのでコロナ関係なく事業を畳んだ、という考えもできそうです。
JRA公式 アイドルホースぬいぐるみの登場
JRAの傘下企業「中央競馬ピーアール・センター」は2012年、独自開発と思われる新シリーズ「アイドルホースぬいぐるみ」をリリースします。初回のリリースでは5頭でのスタート。
2012年に初めて登場した「アイドルホース」。
ディープインパクト、ウオッカ、ブエナビスタ、ヴィクトワールピサ、オルフェーヴルの5頭のラインナップで
始まったシリーズですが、皆様のご愛顧のおかげを持ちまして今年で誕生10周年を迎えました。
https://idolhorse-10th.com/
以降、GI馬を中心に各馬が製品化され、JRA公式ぬいぐるみとして競馬場内のターフィーショップ等で販売され、定番シリーズとして定着。
10周年を迎えた去年はファン人気投票企画「アイドルホースぬいぐるみオーディション」も開催され、ヨカヨカ、メイケイエール、メロディーレーン等のGI未勝利馬も製品化されています。
アイドルホースぬいぐるみは座り込んだ感じのポージングが特徴で飾りやすいフォルムをしています。SMLの3サイズ展開です。
ウマ娘ブームに乗れ!プライズ品も負けちゃいない
コロナ禍で思うように集客ができない中、2020年には牡馬牝馬ともに新たな三冠馬が登場したほか、最強馬アーモンドアイの引退、世界初の白毛GI馬・ソダシのデビューなどで競馬人気は高まる一方。ディープインパクト以来の大ブームを迎えようとしていました。
そのブームを大きくしたのが、結果的にCygamesによる競走馬の擬人化プロジェクト「ウマ娘プリティーダービー」だったわけです。長らく待たれていたゲーム版がついに2021年にスタート。競馬を知らない層へ、競馬の世界へとつながるゲートが開いたのです。
この年、ウマ娘ブームに便乗する形でプライズ業界が動きました。
サラブレッドコレクションのはじまり
7月、エスケイジャパンから「サラブレッドコレクション」シリーズがスタートします。
実は同社はオグリブーム後、アバンティー監修のぬいぐるみをプライズ景品として販売する企業のひとつでした。
「サラブレッドコレクション」は独自開発・単独展開によるまったく新しいシリーズです。オーソドックスな立ちポーズ(優勝レイ付)を基本に、ウマ娘化されている名馬から、ソダシやデアリングタクト(2020年三冠牝馬)等の現役馬までを広くカバーし、様々なサイズで展開したことが人気を呼んだのです。
サラブレッドコレクションのヒットはゲーセン離れやコロナ禍で頭を抱えていたゲーセン側にも益をもたらし、特定チェーン限定製品なども登場するほどの人気ぶりで、安値で叩かれることの多い中古プライズぬいぐるみ市場で比較的高値で取引されているのも事実です。
アニメキャラぬいぐるみでは定番の寝そべりポーズの製品も登場しています。さらにぬいぐるみ以外の製品展開もなされ、総合競馬グッズのシリーズへと発展しています。
(オグリキャップが出ないのは、やはり大人の事情でしょうか・・・。)
アバンティー型の復活 スーパーサラブレッド
同年11月にはエーアンドエムから「スーパーサラブレッド」シリーズがリリース。アバンティータイプの背の丸いフォルムをそのまま継承しており、これこそがアバンティーの後継なのかもしれません。
このエーアンドエムという大阪府の会社、プライズとしての「スーパーサラブレッド」は短命に終わるのですが、アバンティー型の市販品が同社直販サイトで販売されていて購入できます。随時新製品がポツポツと出ているのがわかります。
まとめ:競馬ブームそのものが後押しした
ということで競走馬のぬいぐるみ人気のワケをを歴史から紐解いてみたのですが、最終的な答えは「昨今の競馬ブームが後押しした」というシンプルなものでした。
そもそもの競馬ブームは、ウマ娘がヒットしたことで過去の名馬が再評価される一方で、現役馬も国内外で快進撃を続けているという非常に好条件な状況が産みだしたものです。往年からの競馬ファンはもちろん、ウマ娘経由で入ってきた新規ファンも多く、戦後最悪レベルの不況下で競馬場の入場者制限がかかっている中でも、馬券売上は過去最高水準。
そりゃあ、競馬グッズが売れない理由がないですね。
超名馬の小さい馬主から始まった歴史は、とても奥深いものだったのです。(おわり)