パイオニアの「PD-F25A」は、25枚のCDが再生できるCDチェンジャーです。イトケン様より譲り受けたので、3ヶ月ほど使ってみることにしました。見た目も作りも安っぽいし、音はちょっと安っぽいけど、シングルCDの再生にはちょうど良かったり?
今も需要の高いCDチェンジャー
「CDチェンジャー」というオーディオ機器があります。CDチェンジャーは、複数枚のCDをセットして連続で楽曲の再生を行えるCDプレーヤーの一種です。
1980年代末から90年代にかけてヒットし、据置のモデルの他、ミニコンポに組み込まれたり、カーオーディオに組み込まれることも多かった印象です。2~5枚ほどのライトなものから、300枚[1]単純計算でアルバムCDで1日分を超える!を再生できる機種まで、幅広いラインナップがありました。
そんなCDチェンジャーも、家庭へのUSENの加入数が増えたり、インターネット配信の普及によって、徐々に数を減らしていき、今ではほぼ絶滅したと言っても過言ではないでしょう。しかしながら、インターネットやパソコンが不要であるという点や従来のCDの資産を活かせるという点で、今でも細々とですが、根強い人気があります。ヤフオク相場を見ていると、定価3万円くらいのチェンジャーも、箱付き完動品となると定価を超えてしまうものもあるくらい、意外と高騰しています。
25枚CDチェンジャー「PD-F25A」
そのCDチェンジャーで最も力を入れたメーカーが、パイオニアでした。200枚・300枚を再生できる弩級なモデルを出したのも、パイオニアです。
そのパイオニアがチェンジャー時代末期に出したのが「PD-F25A」です。ミニコンポ用に開発された前機種「PD-F25」をベースに、デザインや操作性を一新。25枚のCDを連続再生できるモデルです。パイオニアのCIが変わる1998年前後から、2000年代にかけて、数少ないCDチェンジャーとして、はたまた安い定価からパイオニアのエントリーCDプレーヤーとして販売されていました。
「PD-F25A」がイトケン様経由でウチにやってきました。このPD-F25Aもヤフオクでは比較的高く取引されています。売却することも検討されたようですが、シングルCDの多い僕の環境にジャストするのではないか、ということでやってきたのです。たしかに、シングルCDであれば、頻繁に発生するCD交換の手間が省けていいですよね。
フタを開けると、25のスロットがあります。順番に入れていく必要はなく、自分の好きなスロットにCDをセット可能。再生中はフタがロックされ開けなくなるようになる構造になっています。
出力は、アナログ(RCA)の他、デジタル(光)にも対応。最近のデジタルアンプとの相性も良いかもしれませんね。
本体で基本操作は可能ですが、リピートやシャッフル、プログラムなどの操作は別途リモコンが必要だったので、好きなCDだけかいつまんで再生したりは当方の環境ではできませんでした。
音はチェンジャーとして普通
このPD-F25Aの奏でる音は、きわめて平坦な音で立体感には乏しい傾向。ですが、”2D”での表現力は決して悪くはないと思います。意外とジャズやクラシックも楽しく聴けました。
その音が平坦であるがゆえに、アンプにその音は左右されると言っても過言ではないでしょう。音の悪いアンプを使うと寝ぼけた傾向ですが、そこそこのセパレートアンプを用意することで、一定のポテンシャルは出せます。実際、ラックスキットA501からオーレックスに乗り換えた際に、粒立ちやシャープネスがグッと良くなったのは事実。
ただし、F25A自体がそこまで高いスペックを有していないので、限界はどうしても出てしまいます。1980年代の2倍オーバーサンプリングのモデルと比べると雲泥の差を感じます。逆に、最近の数万円のエントリー機と比較して、充分戦える音は出ています。BGM的に手放しでザッと聞きたいなら選択肢としては悪くないですね。
使いやすいが魅力感には乏しかった
CDチェンジャーというものは、利便性を追求したデバイスです。CDの取り換えが不要な点は非常に助かるのですが、何もしなくていいぶん、オーディオ的な面白さがどうしても薄くなってしまうのがネックとも言えます。
PD-F25Aの場合は、リモコンが無いと本領発揮できないこともあり、その利便性の恩恵にもあまり預かれる事はできなかったのです。
音質はここ最近のCDプレーヤーと考えると、標準的。決して悪くはないですが、いかにも安っぽさというか、軽さを感じるもの。利便性が、音質の劣化という交換に繋がってしまうのです。
いろいろ考えた末、3ヶ月ほど使ってましたが、動くうち[2]修理部品が流通していないため、ピックアップ等が壊れたらニコイチ以外の修理は難しいに売却することに決めました。
イトケン様、今回もありがとうございました。