東芝のオーレックスは、音色変化に豊かなアンプを数々と世に送り出しました。パワーアンプ「SC-Λ90F」もそのうちのひとつで、オーレックス最後の、有終の美を飾ったアンプでもあります。美しいデザインと音色に惹かれ、購入。ついにプリアンプとセットでΛ90システムを楽しめる環境ができあがりました。
石の上に3ヶ月 ついにやってきた
先日ネタにした東芝オーレックスのプリアンプ「Aurex SY-Λ90」を買ってから、対となるパワーアンプ「SC-Λ90F」が欲しくなってしまいました。
この2台を組み合わせたΛ90システムは、イトケン氏もセカンドシステムでご愛用の組み合わせで、何度もイトケン邸でその音を聴いています。最初は輪郭が強すぎるように聞こえ、ザラザラキラキラとした出方が苦手でしたが、何度も聴いていると、その解像度の高さや表情の豊かさにじょじょに惚れてゆき、そのイメージはSY-Λ90を手にしたことで確かなものになりました。
ここまで来たら、もう戻れません。
5月に一度、完動品(整備品)のSC-Λ90Fを落札するチャンスが訪れたものの、そのときは他の者が先に即決してしまい、落とし損ねました。
それからずっと、なんでこのΛ90Fを手にしなかったのだろう、とずっと後悔の海の中にいました。あのとき買っていれば、最高の音を早く手にすることができていたのに…。
もちろん諦めることはできず、毎日フリマやオークションでΛ90Fを探す日々が始まりました。
そして、3ヶ月後の8月末、ついにSC-Λ90Fがオークションに出品されました。同じ業者がSY-Λ90も出品しており、セット出品だったようです。状態は通電確認のみで不安要素もありますが、これを逃すわけにはいかない。
こちらは即決提示ではなかったので最終面で業者と激戦となったものの、死闘の末、予算くらいの値段で落札できたのは幸運と言っていいでしょう。
月を跨ぎ9月の頭、我がオーディオシステムの”最終目標”となるアンプ「SC-Λ90F」が、ついに我が家に姿を表しました。
都会的デザインが光る
東芝オーレックスの「SC-Λ90F」は、オーレックスで一番最後に登場したパワーアンプでした(※現在進行形)
Λ90コンビはセパレートアンプとしてはミドルクラスで、上位機のダブルナンバー機(Λ99やΛ88シリーズ)の技術や音作りを継承して開発された経緯があります。
発売年の1982年はちょうどCDが登場する年で、デジタルオーディオがもてはやされ始める時期にありました。先に登場したダブルナンバー機はフォノイコライザーに力が入るなどアナログ音源では最高峰の音が出ますが、当然ながらデジタル音源に最適化されているわけではありません。
オーレックスでも、トリオ(ケンウッド)の協力を得てCDプレーヤー「XR-Z90」の発売がなされていますが、これよりやや先行するかたちで、デジタル音源も卒なくこなせるセパレートアンプとしてΛ90コンビが売りに出されたのです。
https://audio-heritage.jp/AUREX/amp/sc-lambda90f.html
Λ90コンビはいかにも都会的デザインをしており、他社のものとは一線を画しています。工業的な未来感でもなければ、ラックスのようなクラシカルでもない点が東芝らしくて良いと思います。実際、この年のグッドデザインの金賞がSC-Λ90Fで、デザイン面では唯一無二の存在です。
https://www.g-mark.org/award/describe/7961?token=Hl9D3GkGzf
大型VUメーターを採用したモデルは他社でもありますが、SC-Λ90Fのそれは光り方や針の触れ方など、細かい部分まで徹底的に作られています。ライトは2段階で調節でき、配慮されてます。なにげに、オーレックスで大型アナログレベルメーターが採用されたパワーアンプはSC-Λ90Fだけだったと記憶しています。
針の触れ方は、小音量でもピクピクする感度の良さが特徴で、見ているだけでもワクワクします。
入力、出力とも2系統備えています。SC-Λ90Fも東芝ご自慢の「クリーンドライブ」を搭載し、そのロゴはメーターの中央で存在感を示しています。Λ90コンビはヘッドホン端子がなく、ヘッドホンアンプを別途必要とするのが難点ではあります。STAXがあるから特段困りませんが…。
内部はしっかり作られていますが、メンテナンス性も比較的高めです。ΛコンデンサーはこのSC-Λ90Fには4つ入っています。
自分が買った個体は音は正常に出たものの、スピーカーリレーの不調で音の出が不安定だったため、デフォルトの松下製リレーから、オムロンの互換リレーへ入れ替えていただきました。
あと、電源スイッチの接触悪く動きが鈍っていたので、裏の天板を外しメガネクリーナーを垂らして動くようにしておきました。
セパレートアンプで自分史上最高の音
SC-Λ90Fの音は、なんというか、もう今までと次元が違います。何を聴いても、楽しい音色変化を楽しめるから。
以前使っていたLUXKIT A501は、典型的なラックスの音という感じで、優しい音色が特徴ですが、まったりしすぎていて退屈でした。輪郭はややボケていて、シャッキリ感がもうちょっと欲しいと思っていたのです。
SC-Λ90Fが、それを見事解決。曲によってちゃんとまったりも、しっぽりも、シャッキリも分離してくれます。
イトケン邸のΛ90コンビはシャープネス重視に寄っているのか、ややザラつきが気になる出方ですが、ウチのΛ90コンビはなめらかな音で、耳障り感が皆無です。悪く言えばΛコンデンサーの劣化等でボケているのはあるのかもしれませんが、もともとの再生能力が高いからか、あまり気にはなりません。
デジタルオーディオを満足に再生できるように設計されているため、CDはもちろん、現代のPCオーディオとも相性がいいです。USB-DACを別途繋いで、FLACファイルを再生したり、Apple Music等のサブスク、Youtubeの音楽動画など、幅広い音源で楽しめるのが嬉しいところです。
その一方で、フォノイコの完成度の高さは相変わらずで、レコード音源も良好です。ウチにはマイクロのMR-611がいるので敵なしです。
ここまで古い音源から最新のハイレゾまで幅広い音源を、満足行くクオリティで再生できるのは、少なくとも国産ではΛ90コンビしかないと思います。
このSC-Λ90Fは、デザインも、音も、自分史上最高。自分の求める最終ゴール地点まで来てしまったため、あとはΛ90コンビで楽しいミュージックライフを楽しみたいと思います(というか、すでに楽しんでますがw)
最後まで読んでいただき、
ありがとうございました!
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