オーディオシステム構築から1年、ようやくレコードプレーヤーにもグレードアップのメスが入りました。マイクロの「MR-611」は1970年代初頭を代表するハイエンドモデル。しっかりとした作りのキャビネットが所有感を感じさせてくれる、味のあるプレーヤーです。
レコードプレーヤーがついに交代へ
去年5月のオーディオシステム構築以降、レコードプレーヤーはテクニクスのSL-D303が一台のみでした。実はいっときだけオーレックスのプレーヤーがいましたが、調子が悪かったので、すぐいなくなりました。
SL-D303はエントリーモデルで、これを言うと譲ってくださったイトケンさんに怒られるかもしれませんが、硬い音で僕の望む音ではなかったように思えます。確かに最初のときはレコードそのものがすごく新鮮で色々かけてましたが、すぐ飽きてしまったのです・・・。
アンプやCDプレーヤー、スピーカー等が順次アップグレードされていく中で、今年に入ってからレコードプレーヤーの置き換えの計画が持ち上がりました。もちろん、“音色のいいやつ”へのグレードアップです。
今回の置き換えも、例のごとくイトケンさん主導でイトケン邸に眠るマシンが我が家にやってくる、という体です。
機種は、マイクロ精機の「MR-611」に決まりました。
70年代初頭のハイエンドモデル「MR-611」
マイクロ精機(以下、「マイクロ」)はかつて存在したオーディオメーカー。とりわけベルトドライブ方式のレコードプレーヤーを得意とし、糸ドライブ方式の高級機をリリースするなど、高い技術力を持っています。なのでマイクロというとレコードプレーヤーのイメージが強い方が大多数ではないでしょうか。
「MR-611」は、1970年代初頭のマイクロを代表するハイエンドモデル。当時のオーディオ界は4チャンネルステレオが流行していて、このMR-611も例外ではなく、4チャンネルに対応したことがこのMR-611や下位機種の広告でよく謳われていました。
この機種もベルトドライブを採用し、8極ヒステリシス・シンクロナスモーターのMB-600で駆動し31cmのターンテーブルをドライブしているのだそう。
当時の定価は49,800円と当時のマイクロのフラッグシップであっただけに、当時の庶民からすれば相当高嶺の花であったことは間違いないでしょう(当時のリーマンの平均月給1ヶ月分らしいです)
https://audio-heritage.jp/MICRO/player/mr-611.html
さて、ウチにやってきたこの個体、イトケン氏によれば、イトケン邸の台所で何年もの間眠っていたらしいです。うず高く積み上げられたオーディオマシンの山に何年も埋もれていた理由は不明です。
電源ケーブルがもともとなかったらしく、汎用のものでもないため、電源ケーブルはイトケンさん側で改造された状態でやってきました。
キャビネットは厚さ19cmのローズウッド仕上げのもので、しっかり作られています。質感はものすごく良く、いつも口にしている”高級感”ではなく、マジモンの高級品です。
アーム横に小物が入れられるポケットがあり、使い勝手も良さげです。
MR-611はマニュアル操作のプレーヤーなので、アームの上げ下げは手動で行う必要がありますが、この手間が逆に新鮮で面白いと思ってしまうのは、近頃レトロなものを好む若い人と同じ考えですかね?
多彩な針とともに
MR-611にはもともと純正のVF-3200という針が付属していて、これも譲り受けたのですが、それとは別に動作確認の目的も兼ねて5本のMMカートリッジをレンタルしています。以下の5本です。
- SHURE M75B(グレースのシェル)
- AIWA AN-8745(純正シェル)
- Ortofon FF15X MkⅡ(ソニーのシェル)
- PIONEER PS-600(純正シェル)
- PIONEER PC-330/Ⅱ(純正シェル)
ザッと比較した感じでは、パイオニアのPS-600が一番の好みでした。メリハリがちゃんとしたパイオニアらしい元気で明瞭なのが、気に入りました。
あと、アイワが思った以上に健闘してます。
Amazonで1200円のデジタル針圧型を買ったので、素人の僕でも簡単にカートリッジの交換ができるようになりました。
このカートリッジ5本(+VF-3200)の比較は、また気が向いたら書いてみようかな、と思ってます(笑)
それにしても、MR-611に変わって、硬さがだいぶ取れました。立ち上がりが良く、モヤッとした感じがないだけでも、気持ちいいものです。
ハードオフのジャンクで買った、サンスイが猛プッシュしたとも言われている小椋佳のレコードを聴いて、ハッとしました。このレコードは4チャンネル録音のレコードらしいのですが、STAXのイヤースピーカーで2chで聴いていても、(前奏の)波が後ろからシュワー!って打ち寄せる音、SLの汽笛の音、雷鳴の音、どれもがリアリティにあふれています。風情を頭の中で思い浮かべることができる、いや、感じさせてくれる力が、前のテクニクス機にはまったくなかったような気がします。
そういう意味で、普段はCDやPCでアニソンとかわりかし最近の曲ばっかりですが、なにも予定がなくて家でゆっくりできる週末、レコードをかけて情緒にあふれた昔の曲、クラシックを聴くのもまた乙だな、と思いました。
これからも、週末のお供として活躍するはず。今年のお盆休みは、ゆったりとレコードを聞いて楽しみたいと思ってます。